2010/6/6 9:37:37 [772]申し訳ございませんが、いろんな理由で完了させていただきます。
2010/6/2 18:1:3 [158]感想のお手紙ありがとうございます>< とっても嬉しいですっ 短いのが読みたい、というお手紙をいただいたので、少し短めにしてみました^^ 感想はお手紙でもレスでもどちらでもいいので、いただけると嬉しいです^^
2010/6/2 17:59:13 [757]「ん…ん……?」
その声に、脇にいたフェイトが気付く
あまり音をたてないようにしながら近づいていく
「おはよう、キャロ」
耳元で、小さな声で呼びかける
「……あれ?フェイトさん?」
起きてすぐだからか、キャロはまだ状況を飲み込めていない
薄暗い中で目を醒ましたと思ったら、すぐ隣にフェイトがいるという状況に、少し混乱しているようだ
「…たしか、お風呂で…?…」
それ以降の記憶が抜け落ちている
「あの後寝ちゃったから、近かったこっちの部屋まで運んできたんだよ」
フェイトが簡潔に説明する
「あ、す、すいません…私…」
恥ずかしいのと、申し訳ないという感情が混じった顔をしている
「いいの、キャロ 疲れてたみたいだし」
フェイトは全く気にかけていない
「今日はここで寝ちゃう?」
そっと起き上がって、枕を取る
「はい、そうします」
キャロの顔は心なしか嬉しそうだ
すぐ隣でなのはが静かに寝ている
「こうやって寝るのも久しぶりだね」
枕を渡しながらフェイトが言う
こちらの顔も同じような表情をしている
少し昔のことを懐かしむような顔だ
「それじゃぁ、おやすみ キャロ」
「はい、おやすみなさい フェイトさん」
目を閉じる
二人の寝顔はとても幸せそうなものだった
2010/6/2 17:57:46 [489]第4話 昔 ここは六課の浴場
「ふゎ〜」
キャロが大きなあくびをする
「疲れちゃった?」
フェイトがその様子を見て聞く
「いえ、大丈夫です」
まだ湯船に浸かり始めてから5分ほどしかたってない
「そう?」
フェイトは心配そうな顔をしている
今は隊長としてと言うより、保護者として心配しているように見える
「最近、訓練がハードになってるって聞いたけど」
キャロの瞼は下がり始めている
「大丈夫…です…ん〜?」
自分でも気付いたのか目をこすり始める
体も、少しずつ力が抜けていくように傾きはじめる
「ほら、疲れてるでしょ」
そう言ってフェイトは優しく肩に手をかけ、自分の方に寄せる
「あ…」
肩の先と頭がフェイトの腕に触れる
寄りかかるような状態になる
少しだけ目を醒ましたキャロだったが、楽な状態になって再び目が閉じ始める
「お疲れ様、キャロ」
キャロの頭をもう片方の手で優しく撫でながら、フェイトが労いの言葉をかける
「は、…はい…」
キャロは目を閉じながら返事をする
完全に瞼が閉じる
「ふぅ…」
小さなため息をする
疲れは一気に出るようなものではないようだ
キャロの顔は、厳しい訓練の後の疲れ果てている時のもののようには見えない
髪を優しく撫でているフェイトにはその顔は見えない
少し、キャロの頬が幸せそうに緩んでいた
2010/5/31 8:28:0 [968]今回も長くなってしまいました>< 感想のお手紙、たくさんいただきました^^ ありがとうございます^^ 良かった点、悪かった点を指摘していただけたら嬉しいです^^
2010/5/31 8:26:44 [805]それまで座っていたベンチはさほど目立つ位置にはなかった
移動して自分から見つけようとする
それまでとは一転、決心をしたような表情をしている
早足より少し速い程度の速さで歩いていく
曲がり角にさしかった
そこを抜ければ大通りの方に出れる
植木がちょうど背丈ほどの高さになっていて曲がった先はなのはからは見えない
しかし、彼女は気にせず曲がろうとした
「「わっ!!」」
その瞬間、同じ声が出た
両者ともぶつからず、反応して止まったようだ
「なのは……」
「フェイトちゃん……」
お互いの名前を呼び合う
時が止まったように二人とも微動だにしない
数秒たって、先に動いたのはフェイトだった
「なのはー!!」
そういって荷物を落としてなのはに抱きつく
その目からは少し涙が出ている
それを受け止めるなのは
泣いているフェイトとは対照的になのはは嬉しそうで、それでいて穏やかな表情でフェイトを見ている
やさしくその髪をなでる
しばらくそのままの状態が続いた
「ねぇ、フェイトちゃん」
なのはが呼びかける
見上げた顔にはまだ少し涙が残っている
「ここって、あの時の公園に似てるね」
なのはが海の方を向きながらいう
「うん、そうだね……」
フェイトも同じ方向を向く
なのはに抱きついていたフェイトの手が、ぎゅっとそれまでより少し強く握られた
2010/5/31 8:25:39 [400]まだ迷っているのだろうか
「ドアが閉まります 駆け込み……」
車掌の声がマイク越しに響いてくる
ドアがゆっくりと閉まっていく
フェイトはその中に半ば強引に入っていったそして、すぐに乗るとガイドブックを開いた
高町なのはは後悔していた
と同時に罪悪感にもとらわれていた
それまで長い間ではなかったが、二人の間で守られてきたルールを破ってしまったからである
思念通話を一言二言送っただけだった
しかし、責任感の強い彼女は後悔していた
居場所がわからないであろうフェイトに、それを送ったのはやむをえないと言えるだろう
が、やはりなのははそう考えたとしても悔やんでいた
彼女は今、公園にいる
人はまばらで、犬の散歩をする人などが少しいる程度だった
「はぁ……」
時刻は午後17時前
まわりは暗くなってきている
彼女は、あのメッセージだけでわかるのかと思っていた
しかし、ガイドブックをフェイトは持っているはずだ
大丈夫
そう信じた
信じ込もうとしていた
ベンチに座って海の方を見る
そう自分に言っても自身を持ちきれないでいて、表情は暗い
一人、下を向いて座る
人が少ないからか、その姿が余計に寂しそうに見える
道を行く人はみな他人
地元ではないので、なのはが知っている人がいるはずがない
今いてほしい人はまだ来ない
くることが確定しているわけではない
「うぅ……」
リンゴーン♪
その声をかき消すように、17時の鐘の音が鳴り響く
なのはは座ったままそれを聞いていた
一人だけその場に取り残されているように見える
ふと、なのはが立ち上がった
待っているのがいやになったのだろう
2010/5/31 8:24:24 [161]不安な表情で外を見つめる
(もしかしたら、引き返してきたのかな………)
その考えを無視するように列車は加速していく
しかし、なのはの時間はゆっくりとしていた
希望としての明るさが、列車が入っていく暗闇に覆いかぶされていくように見える
立ってホームを見つめるなのはの様子の1コマ、1コマが重苦しい
その心にのしかかられるように、なのはは下を向く
加速した列車はもうホームの先端にさしかかっていた
そこには階段があり、そのすぐ横にはベンチがあった
そこには同じようにうつむいている少女がいた
その姿になのはが気付いたときにはもう遅かった
「どうしよう……」
フェイトは迷っていた
なのはが追いかけてきてくれているとは思う
しかし、ここで待っているべきか迷ってしまう
今さっき、トイレに行っていた間に一本通り過ぎていった
もしかしたら、それに乗っていたのかもしれない
次の電車はあと5分後につくようだ
「どうしよう……」
同じ言葉が出てくる
不安が顔に表れている
自分が今どうすればいいのかわからずおろおろしている
「2番線……」
無情にもアナウンスが流れてくる
「白線の内側に……」
迷っているうちに彼女の時間はなくなっていく
しかし、まだ彼女は決められずにいる
なのはがここを通ってしまったとしたら、追いつかなければならないしかし、それが正解かはわかるはずもない
きわめて難しい二択を迫られていた
列車が入ってくる
その瞬間だった
「公園……、海の見える公園…」
突然、フェイトの脳に直接言葉が入ってきた
「え……!!」
列車がフェイトの前を通り過ぎていく
突然のことにフェイトは混乱する
列車が止まりドアが開く
フェイトは一歩を踏み出した
しかし、その足は遅い
2010/5/31 8:23:6 [296]運転手がミスでもしているのだろうか
ぼうっとしているフェイトは尿意に気付き、トイレへと向かった
高町なのはは焦っていた
しかし、不安定な精神状態でいながらもポジティブな思考ができていた
というのも、地下鉄の入口から入って階段を下りたすぐのところに日傘があったからだ
巻き込まれていった行き先の確証がとれたのだ
駅員に聞いて、どっちの電車に乗ればいいのかも聞いてある
もう詰め手といったところだろう
今、なのはは列車に乗っている
人がまばらなのはまだラッシュ時ではないからだろう
発車してから3駅目に入ろうとしていた
ドア際にたって外を見つめている
ガラス越しに目に入ってくるのは、暗闇とわずかな光りだけだった
しかし、これを抜けた先には明るい場所がある
きっとフェイトもそこで待っている
そう信じてじっと見つめることを2回やってきた
ホームに一旦下り、車掌のようにホームを見る
彼女は視力がすぐれているわけではない
長めのホームと列車なので、真ん中あたりの車両に乗り込んでいた
突然、なのはの視界が明るくなる
3つ目の駅だ
ホームに入ってきたのだ
ホームの隅から見ていく
減速していきドアが開く
すぐに降り立ってじっと凝視する
しかし、彼女の求めている姿は目に入ってこない
その様子をカメラ越しに見た警備員は首をかしげていることだろう
タンタララー
定番の音楽が流れる
それに全く気付いていないわけではないが、なのはは無視するようにまだホームを見つめている
「ドアが閉まります 駆け込み乗車はご遠慮ください」
少し間を空けて響いてきた車掌の声に、さすがに気付いたのか、なのはもドアの中に入る
彼女の服が列車の空間に完全に入ると、ドアが完全に閉まった
「はぁ………」
前の駅のときにも出たため息が出る
連続して期待が外れるとため息にも疲れと苛立ちが混じってくる
2010/5/31 8:22:2 [804]なのはの携帯電話はバッグの中に入っている
連絡手段はない
こちらの世界で思念通話を使わない癖がついていて、その存在も忘れかけている
気付いたとしても彼女は使わないだろう
それは、なのはにも言えることだった
現にフェイトにそれは伝わってこない
ふと、風が吹いてく
工事中の穴から吹いてきたものだろうか
涙が今にも溢れ出しそうなフェイトの髪をゆらす
それを感じ取って、フェイトは上を見上げた
その顔は、ただ風がきてるなと感じてるなというものだった
しかし、少しばかり不安が安いらいだようにも見える
すると、突然放送が流れた
フェイトが顔を上げた直後のタイミングだった
「2番線、○○行きが参ります 白線の内側までお下がりください」
決まりきった文句が流れてくる
それをフェイトは生気のない顔で聞いていた
大きな音をたてて列車が進入してくる
どうやら、通過列車だったようだ
余計にホームで一人、孤独でいるフェイトが寂しそうに見える
その列車が通ってからすぐ、人がぱらぱらとゲートを通って入ってくる
16時頃だからだろうか
人の移動がはじまる時間に近づいてきたのだろう
その様子を見たフェイトは現実に戻ってきたように、はっとして左右を見渡す
どうやら自分の今の状況を確認しているようだ
平常心が戻ってきたようだ
そうしていると、反対ホームに列車が入ってきた
「1番線…」
ほぼ同時にフェイトの立っている側に放送が流れる
「2番線列車が参ります」
それを流す小さなスピーカーをちらっとフェイトは見た
しかし、すぐに視線を元に戻す
なのはがその電車に乗ってくる確証を持っているわけではない
まだフェイトのいるホームには列車は入ってこない
2010/5/31 8:20:33 [245]「ありがとうございます!!」
その言葉は自動ドアに遮られて半分しか入り込まなかった
フェイトはとまどっていた
同時に不安にさいなまされ、今にも泣きそうになっていた
彼女もまだ少女なのだろう
そこまで強い心を持っているわけでもなかった
彼女は気付くと狂ったような人の波にのまれ地下鉄に乗っていた
預かっていた荷物はしっかりと握っていたが、日傘は手から離れてしまった
というよりは獲られたと表現すべきか
その人物は目の前の地下鉄に入っていった
何を思ったのか、その渦中にいた人物はコンビニの目の前の地下鉄に入っていった
普通ならタクシーにでも乗るところだが、その人は報道の人間が地下鉄のゲートを通るためのパスを持っていないと判断したのだろうか
それに運ばれ、ちょうど財布といっしょにパスを持っていたフェイトもそのゲートを通り過ぎた
不幸中の幸いか、乗り込んだ列車に少し隙間ができていたので、なんとか押して3つほど駅を進んだところで降りることができた
ため息をつく暇もなく、その片手にあるはずのものがないことに気付き今に至っている
彼女は2つの不安に襲われていた
日傘をなくしてしまった
忘れ物として届けてあればいいが最悪の場合、二人のもとに帰ってこないこともありうる
なのはといっしょに選んだものである
出かけるときにはこれを使おうと言って選んだものである
第二に、なのはと離れ離れになってしまったことである
ほとんどなのはの案内で今まで来ていた
ここの地理に詳しいわけでもない
ガイドを読めばわかるものを、不安でいっぱいのフェイトはそうできなかった
何より二人でいれないことに対する大きな不安が彼女の心に重くぶら下がっていた
「うぅ………」
今にも泣きそうな顔で一人、ベンチに座っている
あまり人が降りない駅なのか、人の姿は見えない
駅員もさぼっているのか、仕事で忙しいからかホームにはいない
まるで無人駅のようになった中に、フェイトは一人座っている
フェイトの息をする音以外の音はほとんど聞こえてこない
せいぜい聞こえたとしても機械の音程度だろう
中途半端な時間だからか、列車も入ってこない
「うぅ………」
同じ声を出す
かなりの間、フェイトは同じ表情、同じ姿勢で一人たたずんでいた
その場を動こうとしていない
2010/5/31 8:18:37 [524]なのははその中年の男に期待の視線を送る
「こちらのお客様が……」
そう言うと店員は仕事に戻っていった
「あの、金髪の女の子を見ませんでしたか?」
すぐになのはが尋ねる
それとは対照的に、男はその空気を読めていないようだ
「うーん」
考え込むように頭に手をあて、ななめ上を向く
一方のなのははその様子を食い入るように見ている
その顔、いや口に視線が向いていた
その口が開いて、何か手がかりとなる言葉が出てくることを期待している
いや、むしろ出てくることを確信しているように見える
一分ほどたってその男は何かをひらめいたような顔をする
2秒ほど時間を置いてぽんと手をたたく
その動きに合わせてなのはの表情に明るさが戻ってくるが、不安も混じっていた
「そういえば、なんだかよくわからない……だれか有名人でもいたのかな〜」
その言葉になのはは、頭の上にはてなマークが出てきそうな顔をする
「報道陣みたいのがものすごい勢いで通り抜けていってね〜」
気の抜けた声だった
なのはが求めている単語はまだ出てこない
その口調と話す内容に、なのはのフラストレーションが少しずつ溜まっていく
「そうそう、もしかして金髪の女の子……たしか髪を結んでたかな? その子がその集団に巻き込まれてったように見えたなぁ」
一転、なのははその単語に飛びつくように反応した
「あの、それでどこにいったんですか?」
どこか違う方向を向いてのらりくらりと喋っていた男は、その鬼気迫る表情に圧倒される
「あぁ、そっちに行って…なんでかわからないけど地下鉄に入っていったなぁ」
その「地下鉄」という単語を聞いてすぐなのははドアに向かった
2010/5/31 8:17:32 [192]彼女の顔は凍りついていた
4、5秒ほどたったあたりか、はっとなのはは我にかえった
まるで幽体離脱していたような体に序々に生気が撮り戻ってくる
すぐに歩きだす
その速さがゆっくりなのは、状況を受け入れきれていないだからだろうか
普段の目とは違い、焦点が定まっていないように見えなくもない
外に出て左右を見渡す
そこには人の不規則な列ができているだけだった
外で待っているという楽観的な期待はすぐに覆された
荷物と日傘を預けているが、この炎天下の中でわざわざ出て行くとは考えられない
混乱していても、ある程度冷静さを失っていないようだ
逆にその冷静さが余計に混乱させているのかもしれない
「ふぅー」
落ち着こうとして深呼吸をした
息をはき、そのまま目を閉じたまま10秒ほどそのままの状態でいる
正常な状態に戻ったのか、あせっているのか目を見開き歩き出す
その瞳からは強さのようなものが溢れていた
「あの、すいません」
何をするかと思えば道をせわしなく行く人に話しかけ始めた
フェイトの身になにか起こったとも考えられる
この世界以外のものが関係してきているのかもしれない
しかし、忙しそうにしている人はただ通りすぎていくばかりだった
なのはもその空気を感じ取ったのか、うつむいてしまう
どうしようか考えているのだろうか
それに焦りが混じって、不安が顔にあふれている
20秒ほど、不安にさいなまれていると、何かが降りてきたようになのはが顔を上げる
自動ドアにあたりそうな勢いでコンビにの中に入っていく
「あの、すいません」
店員を見つけるとすぐに話しかける
その勢いに、補充をしていた店員は気圧されてしまう
「ちょっと前にそこで金髪の女の子を見かけませんでしたか?」
レジの方を指差してなのはは単刀直入に聞いた
少しでも早く情報を得たかったのだろう
「すいません、今入ったばかりで…」
そういうと店員はてんちょーと奥のほうに向かって呼びかけた
従業員専用と書かれたドアが開いて店長と思われる人物が現れた
2010/5/31 8:14:59 [650]そわそわしているような動作をしていたが、その顔は対照的にわくわくしているような、嬉しそうな表情をしている
早くなのはといっしょに歩いて行きたいのだろう
こんな短い間でもなのはを待ちわびている心が、体に出ていてほほえましい
しかし、それを崩そうとするものがそこに近づいていた
ビル側のドアの方で何かが動いているように見える
近くではないが、人だがりができていた
コンビにのドアから20メートルほどの距離のところでその集団が形成されている
それに吸い付くように人が増えていき、10秒ほど時間で人数が2倍ほどになっていた
ドアが音を遮断していて喧騒は少ししかコンビニの中に入ってこない
荷物を持って待っているフェイトの耳にはその音は少ししか入ってこない
本人もあまり気にしていないようだ
しかし、それは着実に加速しながら近づいている
時速5キロ程度だったのが早足程度の速さになっていた
あっという間にドアの目前に迫る
「ん……?」
その異常さにフェイトも気が付いていた その光景を見たレジの店員は口を半開きにしてそれを見ている
しかし、そこにいる人間の中でこちらのドアに入ってくると思っている者はいなかった
そのビルには、もう一つ大きな出入口がある
その集団は曲がってそこにいくと予想されていた
フェイトもそう思っていた
大きな出入口がガラス越しに見えている
しかし、その予想は覆された
それがドアの2mほど前まで近づく
「「え?」」
店員とフェイトが同じ音を発する
自動ドアが開く
「…一言コメントを!!…」
様々な声が混じった喧騒で、ドアが開く音はかき消された
フェイトは何が何だかわからないままそれに巻き込まれていった
トイレから出てきたなのはは困惑していた
「え……?」
そこに待っているはずのフェイトがいなかった
立ち読みをする20代の若者
おやつを選ぶOL
それはどこにでもあるコンビニの光景だった
そうしているのが当然のように動いている
しかし、なのはにとっては唯一あってほしい自然、フェイトが待っている姿がそこにはなかった
なのはは出てきてすぐ、目に入ってきたその店の様子にとまどっていた
それを受け入れようとしなかった
なのはの時間だけが、その場で止まっていた
他の日常は通常通りに流れている
2010/5/31 8:11:44 [455]第3話 公園 9月の最初の休み
太陽が強く照りつける暑い日
フェイトとなのはは、何週かぶりの休みを満喫していた
二人とも宿題はやっていたものの、仕事が連日のように舞い込んできたためにほぼ休みのない夏休みを過ごさざるをえなかった
休みの日が無かったわけではない
休みの日ができたら一緒にでかけるという約束をしていた
ささやかな、大事な決まりごとを決めていた
しかし、二人の休息の日が重なることはなかった
仕事が終わって休みになったとしても一人
もちろん家族もいる
だが、もっと大事な人との休みを過ごしたかったというのが本音だろう
電話で言葉を交わした
しかし、二人は直接会っている時に比べて心が繋がっているという感じをあまり受けていなかった
「それじゃぁ、またね」
言葉を交わしても物足りなさが少女たちの心に残った
思念通話であれば繋がっているようなものを感じるようだが、使おうとはしなかった
二人の間でこの世界ではなるべく魔法を使わないという暗黙の了解が、いつのまにかできていた
思念通話も例外ではなかった
「なのは、次はここに行こう」
太陽が照りつける15時
二人は日傘をさして街を歩いていた
少し大きめで、ちょうど二人がちょうど入るほどのものだ
「うん」
なのはが嬉しそうにうなずく
それまでの長い日々があったからか、とても楽しそうな時間が流れている
今日はフェイトが積極的だ
その無邪気な顔がまぶしい
笑顔を浮かべ、この世で一番の幸せを噛締めているように見える
「フェイトちゃん、ちょっとトイレに行ってい?」
ちょうどコンビニにさしかかった所、でなのはが言う
「あ、うん、じゃぁレジの前で待ってる」
片手に持っていたパンフレットに夢中になっていたのか、反応が少し遅かった
そう言って荷物を持ったフェイトが日傘をたたむ
自動ドアが開くと、なのはは小走りでかけていった
コンビニは少し変わった構造をしていた
入ってすぐ前方にもう一つのドアがあって、ビルの中に入っていけるようになっていた
そのことなど一切気にかけず、フェイトはなのはを待っている
2010/5/30 13:49:10 [355]今回は少し長くなってしまいました>< タイトルを言い忘れていたので今言いますね^^ 第一話はお弁当で第二話は風邪です^^ 沢山の方に読んでもらえたら幸いです♪
2010/5/30 13:47:28 [690] 電子レンジの中を回る皿を見つめるのはなかなか退屈なものだった
1分程度でも10分くらいに感じれるほどだった
あと30秒
あと20秒
あと10秒
いよいよ終わる
今か今かとふたの取っ手に指をかける
3……2
ガチャ
いつも聞きなれていた電子音ではなく、予想していなかった音が耳に入ってきた
「ただいま〜、フェイトちゃん」
よく聞きなれた声で電子レンジの音がかき消された
正確にはレンジの音に神経がいかなかったというべきか
その声が聞こえてきた瞬間に、足がそちらに向かっていっていた
「なのは、どうしたの?」
「フェイトちゃんが心配になって…その…」
すぐにその後の言葉が解った
「大丈夫? フェイトちゃん 朝、熱があって」
「ありがとう、なのは もう大丈夫だから」
なのはにゆっくりと抱きつく
なのはもそれを優しく受け止め、手を回してくる
特になにかあるわけではないが、なんとなくそうした
感謝の意と受け止めてほしかったのかもしれない
実のところは人肌が恋しかっただけだった
「……フェイトちゃん、いきなり倒れるから心配したんだよ」
「ごめんね、なのは…」
抱擁でお互いの体温を感じる
自分のことを想ってくれている人が温かい
2010/5/30 13:47:21 [73]起きるとすっかり明るくなっていた
頭痛もしない
少し頭が熱っぽいくらいだろうか
とりあえずベッドから出る
ドアノブに手をのせようとした時にドアに貼り付けてある貼紙に気付いた
「お昼は冷蔵庫に入ってるから、レンジでチンしてね」
下になのはと書いてあった
なのはが食事を作ってくれていた
おそらく自分を部屋まで運んだのもなのはだ
なのはのことだ
助けを借りずに自分で運んだと想像がついた
そんなことを考えながら歩く
しっかりと歩けている
自分の回復力に少し驚く
冷蔵庫を開けると目線と同じ高さの棚に皿があった
野菜を中心に軽めのものがおいてある
どれも自分の好みのものだった
すぐに電子レンジに入れずに少し感謝しながらじっとそれを見つめる
皿を電子レンジに入れて、不要なものはそのままテーブルに置く
3分に設定した
一人でいると意外と長く感じるものだ
手持ち無沙汰になる
目を閉じてゆっくりと待つことにした
落ち着ける
しかし、なんとなくものたりない感じがする
そろそろ3分だろうか
意外と電子レンジの3分は短いように感じる
回っている皿の方に向かう
表示を見てみる
しかし、まだ1分20秒だった
中途半端な残り時間
そのまま待つことにした
2010/5/30 13:44:40 [519]熱のせいか頭痛のせいか、だんだん視界が縦横に狭まってくる
まずい
と思った時にはもう椅子によりかかっていた
音を出したのだろう
誰かの足音がしてくる
見慣れた色が目に入ってきた
なのはだ
気付いたが、言葉を出す元気もあまりない
「大丈夫?フェイトちゃん」
すぐに心配したなのはの声が聞こえてくる
しかし、後頭部が重くなるようになり、たっていられなくなる
「な…のは…」
そのままバランスが崩して、目に入る部屋が回転していく様子が薄れてく意識の中にうっすらと残った
何時ごろだったかは覚えていない
音のせいで起きた
ゆっくりとした足音が聞こえてきた
気のせいかと思って目をつむる
しかし、やはり気になる
その一歩一歩の間隔があいているような気がした
不自然なその間隔が気になって寝床から出る
視界はあまりはっきりしていない
まだ起きたばかりだからだろう
とりあえずドアの外に出る
その誰かはいなかった
「?」
目には廊下しか映っていない
その人はもう目的の場所にでも行ったのだろうか
人影は見当たらない
そのかわりに誰かが動いている音がする
なんとなく後ろを見てみる
ドアが開いている
自分は開けていない
今更ながら、隣で寝ていた人物のことを思い出した
今度は心配になってきた
急ぐ
そこには見慣れた人物がいまにも倒れそうになっていた
「大丈夫、フェイトちゃん」
駆け寄って抱きかかえるように支える
「な…のは…」
目を少しだけ開いていたが、すぐに閉じてしまった
顔が赤く、呼吸も少し苦しそうだった
その様子から、すぐに風邪だと解った
病人の体はもとい、意識がはっきりとしていない人の体は重い
ゆっくりと、いたわるようにベッドへと向かった
2010/5/30 13:36:1 [78]うっすらと天井が目に入ってくる
まだ薄暗い
4時か5時くらいだろうか
首を横に向けて時計の方を見る
ピントがうまく合わない
じっと見てみてもピントがうまく合わないが、だいたい何時かあたりはわかった
首を元に戻す
「コホッ」
突然、せきが出る
喉の違和感とほぼ同時にせきが口から出た
「コホッ、コホッ……」
それが一旦収まって、落ち着くために息をしようとする
吐く息が熱い
体全体が熱を帯びているような感じもする
おまけに少しだるさもある
とりあえず寝よう
少しでも目を閉じて休めば少しは良くなるはずだ
「ふぅー」
長いため息が出た
相当疲れているのだろう
あまり風邪をひいたことはなかった
最後にかぜを引いたのはいつだったかを覚えていない
相当前だっただろうか
そのときはアルフの看病のおかげですぐに治ったと記憶している
今日も学校のあとに仕事が待っている
がんばらねばならない
しかし、考えていては寝ようにも寝れない
そのまま何も考えないよう意識を沈めていく
「コホッ」
こういうとき、特に風邪のときに限って眠りにつけないものだ
せきが睡眠を阻止しようとする
「コホッ、んん」
のどもやられたようだ
乾いたような痛みがする
「ゴクッ」
つばを飲み込むと同じような痛みがした
とりあえず水を飲もう
改善するかどうかはわからないが、今は体が水を欲していた
体を起こす
ベッドから降り、床に足をつく
だるさで動きが鈍い
立ってみると少し体がふらついているのが自分でわかった
指先にも少し違和感があったが、さほど気になるものではなかった
水にはすぐに到達した
冷蔵庫を開けペットボトルのふたを回す
水の香りのようなものがするような錯覚がした
それほど水分がほしかったのだろう
コップに注いだそれを一気に喉に通す
冷たい感じがする
少しの間ではあるが、その瞬間は生き返ったような気がした
しかし、すぐに熱が戻る
2010/5/30 13:33:11 [329]>みゆぅ★ ありがとう♪頑張るっ
2010/5/29 22:45:2 [287]面白いよ〜☆ 頑張ってね〜☆
2010/5/29 21:35:39 [24]上げます^^
2010/5/29 15:38:42 [730]>みく君さん コメントありがとうございます!これからはもっと楽しい小説にしたいと思います^^
2010/5/29 15:10:47 [185]いいですね^0^ あの、「はい、あーん」はひいたけど…。 登場人物はまだ少ないんですね>0< 頑張ってくださいね〜〜〜^v^
2010/5/29 14:21:1 [567]意味不明で下手ですが、読んでもらえると嬉しいですっ!
2010/5/29 14:19:52 [591] 少しだけ開いた口に卵焼きが入る
「どう?フェイトちゃん」
「うん、おいしいよ なのは」
満面の笑顔でフェイトが答える
「今度は、なのはが私の作ったのを食べてくれない……」
「うん あーん」
まったくためらわずになのはは目を閉じる
フェイトはなのはの早さに少しあたふたする
慌てながらウィンナーをなのはの口元まで運ぶ
フェイトは緊張して手を震わせている
「フェイトちゃん?」
目を閉じながらフェイトに呼びかける
「ご、ごめん なのは」
すぐに口に運ぶ
「おいしい?なのは」
緊張がまだ解けず、フェイトはうつむきながら聞く
「おいしいよ フェイトちゃん」
笑顔で答えるなのは
「ありがとう……なのは」
フェイトは安心したような、うれしそうな顔で答える
そのまま自然となのはの頬にキスをする
触れてる唇からなのはの熱がフェイトにも伝わった
同じ調子で昼食を食べ続けていると、二人とも眠そうな表情になる
「フェイトちゃん、そこでお昼寝しよっか」
「うん」
芝生の上に仰向けになり、自然と手を繋ぐ
「あの時と同じで、なのはの手は温かいね」
「フェイトちゃんの手も温かいよ」
目を閉じたまま手を握り合い、暖かい春の昼を楽しんだ
「ずっと……一緒にいようね」
「うん」
2010/5/29 14:19:3 [626]海鳴臨海公園を二人、手をつないで歩く
「なのは、そこのベンチに座らない?」
「うん」
二人でベンチに座る
互いに無言で潮風にあたる
しばらくそのままでいると、一瞬強い風が通る
フェイトの髪が風に飛ばされなのはの顔に触れる
(フェイトちゃんの髪………)
フェイトがなのはを見ると顔を少し赤くしていた
「なのは、どうしたの?」
「ぇ?なな、なんでもないよ? それよりお弁当食べない?」
「う、うん」
互いに自分の持ってきた弁当箱を開ける
「フェイトちゃんが作ったの、おいしそうだね」
「ううん、そんなことないよ…」
自分のを褒められて少し頬を赤くする
「なのはのも…その…おいしそうだよ」
「うん、ありがとう いっしょに食べよっか」
箸箱から箸を取り出す
しかし、フェイトが開けるとそこには箸が片方しか入っていなかった
「あれ……」
少し動揺するフェイト
「どうしよう、なのは 箸を片方忘れちゃった……」
「うーん、 それじゃあ……」
と言い、なのはが弁当の卵焼きを箸ではさむ
「…?」
フェイトはきょとんとしてなのはを見つめる
「はい あーん」
フェイトは少し驚いたような表情をするが、すぐに目を閉じる
2010/5/29 14:15:30 [661]★キャラ紹介★<リリカルなのは> ・なのは ・フェイト ・ヴィヴィオ ・キャロ ・リンディ ・スバル ・ティアナ ・ルーテシア ・アリサ ・シグナム ・アリシア ・はやて ・アイン
出てくるキャラはこれぐらいです^^ 一日1話、更新していきます^^ 来れないときもあります
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