2010/5/8 9:37:58 [874] 予想通り…というかなんというか、コメント数少なかったので完了します。 モモ(><)さん、何度もコメントありがとうございましたー。完結できなくてすみません;
2010/5/8 9:36:22 [189]「あと、レイティラ・ペローナ・シェピロル姫と婚約させられた、らしい」 「婚約…? らしいって、なんだよ。自分のことだろ? ってか、もっと詳しく話せよ」 「詳しくって言われても……。俺とレイティラ姫が俺が知らないところで婚約させられていたことと、彼女が美人とは言いづらいことと、近いうちにここにくることしか知らない」 「いっとくけど、なにも手助けはしないからな」 全くしょうがねぇなぁ、という表情でカインを見るナムト。だが、いざというときは頼りになることも……少しはあるやつなのだ。頼らない手はない。 「そう言うなって。俺とお前の仲だろう?」 カインが親しげなほほえみを浮かべて言うと、ナムトも笑い返した。 「あったりまえだ!! ……とでも言うとでも思ったか?」 「え…?」 傷ついた顔をするカイン。 「じょーだん」 「どっちが??」 用心深そうに尋ねるカインの表情を見て、ナムトは苦笑する。 「あったりまえだ!! じゃないほう」 「だよな〜やっぱナムトはいい奴だな〜」 思わずナムトの肩を抱いて前後に揺するカイン。 「っぷ、気持ち悪いからやめろ……誰か来る」 素早くカインの手を払いのけて扉を振り向くナムト。 やがて、だんだん大きくなってくる足音が、カインの耳にも聞こえ始めた。かなり勢いよく廊下を走ってくるようだ。王宮にそんな不作法をする人間はいない(閉めたはずの扉も無視する人間はいることはいるが…)。 「失礼いたします!! ご無礼をお許しくださいませ!!」 扉を叩く激しい音とかなり切羽詰まった声が聞こえる。 カインが短い言葉で入室を許可すると、カインやナムトと同年代の少年が入ってきた。カイン付きの親衛隊の青い制服を着ている。 「そんなに急いで何があった?」 ナムトの表情は険しい。 「王宮の庭園の石畳に、落書きが…」 庭園に入れるのは王族と貴族、警備員と庭師のみだ。そしてその中に王宮に落書きをするような不届きな人間はいない。王宮を汚すと王家冒涜(ぼうとく)罪(ざい)として罰せられるほどだ。 「何と?」 「『王子を殺してやる』と…」 カインの喉がごくりと音をたてた。
2010/5/5 19:8:10 [258]悪友…(笑(おいそこは笑ってはイカン てヵカインwどんだけ腹立ってんのw 少し頭を冷やしてみようよw(笑 頑張って下さい!これからも見てますので(`・ω・´)!
2010/5/5 16:40:10 [872]「やってるね、おーじ」 「ナムト!?」 いつの間にか、カインの親友―悪く言えば悪友ナムト・シェイルがカインの後ろに立っていた。栗色の瞳が明らかに面白がっている。ちなみに、かなり庶民的な悪態をカインに教えた張本人はナムトだ。 「って、なんで閉めたのに入ってきてるの??」 「うちの爺ちゃんはれっきとした泥棒だぜ!? これくらい出来て当たり前」 シェイル家は代々怪盗の一族だ。その家業のせいで、一時は王宮の牢に入っていたナムトの祖父に爵位を授けたのはカインの祖父、カーナイルだった。それ以来、シェイル家は貴族として領地を治めるまでになったのだ。 「で、なんで拗(す)ねてるの? どうせまた、あの狸の親父さんにやられたんだろう?」 現国王であるカボロをカインの前で狸呼ばわりするナムトだが、悪気があってのことではない。と本人は豪語している。 「そうだよ…」 「今度はどうした??」 「政治を押し付けられた」 「ぇぇぇええええ!!」 大笑いするナムト。 「傑作だなぁ! 今までのお前のつまらないジョークの中でも一番つまんねぇよ」 それでも表情を変えないカインの様子を見て、ナムトは少し笑いを抑えて聞いた。 「冗談、だろ…まさか、な…?」 「そのまさか」 ナムトは、真冬にヒマワリと桜と紅葉を同時に目にしたような顔をした。そして次の瞬間、その顔は青ざめる。それを見ていたカインは、自分の状況も忘れて、器用な奴だと感心する。 「要するに、これからお前がラッサーナの女狐とかシェピロルの人妖と渡り合ってくってことだろ? 絶対無理だ…」 ラッサーナもシェピロルもコーラティアと隣り合う国である。 「そうだけどさ、そんな言い方ないんじゃない?」 自分でもそう思っていたとはいえ、ナムトにまで言われると、腹が立つカイン。
2010/5/4 15:43:47 [690] ありがとうございます〜☆
2010/5/4 14:7:9 [328]クソ親父…(笑 でもクソ親父ひどいと思います私。(クソ親父って呼ぶなw ぉw最後にカインの肩たたきをしてくれる偉い人は誰かな〜?(違ェ!;; あ 取り乱しました。頑張って下さい^^⋆ウフ
2010/5/4 14:1:37 [325] 〜第5回〜 「あのクソ親父ぃ!! 自分が楽してぇからって、人に政治押しつけやがって!!」 国民が王族を直接見ると目がつぶれていると信じられている国もあるというから、王子が気軽に町に出かけるコーラティアは比較的国民と王家が近い国家だといえる。が、さすがにカボロがこのかなり庶民的な悪態を耳にしたら、自分の立場も忘れて口をあんぐりとあけて数分間は立ち尽くすことだろう。そして、我に帰った後、息子に下品な言葉を教えた犯人を血眼になって捜す…なんてことはしないだろう。面倒臭がって。 そのとき、ひたすら父親の悪口を言いまくるカインの肩をたたく者がいた。
2010/5/4 11:4:26 [302] ぁ、ありがとうございます! 初めてコメントいただけてすごくうれしいです!(もう完了しようかなとか思いかけてましたので・・・w これからもがんばります♪
2010/5/4 9:9:2 [330]面白いです><* 続きが気になります〜´∀`⋆ こういう感じの小説好きです〜><* 頑張って下さい!一部で完了しないでできれば三部までwww><。;;
2010/5/4 8:24:7 [612] 〜第4回〜 お世辞にも愛らしいとはいいがたい濃い緑色の瞳。ごわごわとしていて強情そうな髪。全体的にごつごつとしたイメージの女性だ。淡い橙色のドレスがどこかちぐはぐな印象さえ与えてしまう。 「えーっと…非常に印象深い方ですね…」 カインが反応に困って言うと、何を勘違いしたのかカボロは嬉しそうな顔をし、 「そうか、気に入ったか……よし、この絵をカイン王子の部屋に運ぶように」 勝手に召使に指示している。カインが蚊の泣くような声で静止しようとしていることを歯牙に掛ける気はさらさらないらしかった。 「さ、もう下がれ。ご苦労だった」 カボロの言葉に、カイン(不満の塊と化している)とラティス(何を考えているか理解できない王にあきれ果てている)はそろって丁寧に頭を下げ、白雪の間を辞した。 ラティスはカインに何か話したそうな顔だったが、カインにそんな余裕はなかった。 部屋に駆け込み、布団にもぐりこむと、父親に対して悪口雑言の限りを吐きまくる。
2010/5/3 8:10:34 [196]「婚約者のそなたが姫とうまくいかなくてどうする?」 「コンヤクシャ……とは、結婚の約束をしている、ということですよね…? 私が……? レイティラ姫と?」 彼にしては珍しく、少し小さめの声で尋ねるカボロ。 「もしや…初耳なのか??」 初耳もなにも、レイティラ姫の正式な名前もさっきの会話で知ったばかりのカインである。ラティスを振り返ると、大して衝撃を受けた様子でもない。どうやら知らなかったのは自分だけのようだ。 「初耳、ですね」 カインは自分の声が憤りで震えるのを感じた。 「そうだったのか……。あ、ここに姫の肖像画がある。シェピロルでは天才といわれる宮廷画家が描いたそうだ」 カボロが話をそらすように合図をすると、控えていた召使が壁に掛けられていた布をとった。 基調は純金。そこに色とりどりの宝石がちりばめられた高価そうな額。 ―そこに描かれているのは広い部屋でくつろいでいる若い女性の姿。肌理(きめ)の細かい白い肌と、ほっそりとした体つきは温室で育てられた花のような……というのはカインの希望的観測だった。
2010/5/2 12:45:52 [116] 〜第2回〜 「では、そうだな……政治を一任することにする」 「は…? 申し訳ありません、聞き間違えたようです」 聞き返すカインの声はコウモリの超音波でもあるかのように無視されたが、ラティスが己の耳が信じがたいとばかりに聞き返す。 「今、何と仰せられましたか?」 「政治を一任する。ラティスは余によく仕えてくれた。これからもカインの手助けを頼むぞ」 「そんな、いきなり…」 食い下がるラティスを、カボロは軽く片手をあげて制した。 カボロが一度決めたことを考え直す可能性より、モグラが日光浴を楽しむ可能性のほうがはるかに高いだろう。 「それともう一つ」 カインは身構えた。 「レイティラ・ペローナ・シェピロル姫が、近いうちに王宮にいらっしゃる」 「はい」 今度はどんな難題が待ち受けているかと鳥肌を立てていたカインは拍子抜けした。 彼女の話は以前聞いたことがある。近国シェピロルの姫君だ。 王宮に他国の王族や貴族が訪れることは日常茶飯事だ。なぜそんな重要でもないことを父が重々しく告げたかがわからない。 「レイティラ姫はシェピロル王と第二妃様のご息女であらせられる。縁談がうまくいけば両国の未来は明るいからな。よろしく頼むぞ」 「かしこまりました。で、私は何をすればよいのでしょうか?」 「とりあえずは、姫君とうまくいくようにしていればよい」 「はい! ところで、つかぬことをお聞きしますが、私が姫君と親しくさせていただくことには何か深い意味がおありなのでしょうか?」 コーラティア王家の親族になる人らしいから、仲がいいのには越したことはないが、意味深に言うことでもないはずだ。 「そんなこともわからないのか!?」 怒り、というよりは驚きの声を上げるカボロ。その反応をみて、カインは少し焦る。自分は何か大きな勘違いをしているのではないか。 「申し訳ありません、どういうことでしょうか……?」
2010/5/1 21:28:36 [912] 〜第一回〜 「カイン王子、そなたも今日で十五歳か。めでたいことだ」 「ありがとうございます、陛下」 その荘厳(そうごん)な姿から、『氷山』の異名をもつコーラティア王宮。大理石がふんだんに使われた王宮は大陸(たいりく)随一(ずいいち)の大きさと雅さを誇る。また、その庭園はありとあらゆる花が咲き乱れ、「神の庭」と称(たた)えられる。 そんなコーラティア王宮の「白雪の間」では、現コーラティア国王、カボロ六世ことカボロ・ディル・コーラティアとその息子で王子のカイン・ゼジュ・コーラティアが向かい合っていた。 金髪碧眼の偉丈夫カボロは絢爛(けんらん)豪華(ごうか)な玉座に堂々と腰掛けている。父王と同色の髪と瞳をもちながら、父王とは反対に華奢(きゃしゃ)で幼い印象さえ受けるカインは床にひざまずき、親子水入らずの会話を楽しんでいる―ように見えた。傍目(はため)には。 「しかし…十五歳か…。先王のカーナイル四世は十五歳になったばかりで御即位(ごそくい)されたのだったな」 楽しそうなカボロの口調に一瞬混じった真っ黒な何かを感じ、カインは体に力を込めた。 「私も少しは見習えればよいのですが…」 カインが相手を窺(うかが)うように小さな声で言うと、カボロは満面の笑みを浮かべた。その様子をカインの後ろに控えていたこの国の第一大臣ラティスは、後にこのときのことを思い出し、『獅子が舌なめずりをしながら、目の前で恐怖のために動けなくなった獲物を見ている様子がよく理解できた』と話している。 「そうか、そう言ってくれるか」 今にも歌いだしそうな父を前にして、カインは自分が笑えないことに気付いてしまった。顔の筋肉が拒否反応を示しているのだ。
|