| 2010/1/5 10:47:20 [134]燃え盛る炎の中、人影は気配を感じて上を見上げた。上にいたのは、彼よりも幼い少女だった。
 彼女は、彼の前に降り立った。
 「誰、君」
 彼は、彼女を観察するように見る。
 明らかに普通の少女。なのに、彼と同じように炎の中に立っている。
 「君も普通の人間じゃないだろ?」
 もう一度、彼は問う。
 だが、その問いに彼女が答える事はなかった。
 「悪いけど、仕事だから……」
 口の端を歪めて、彼女は微笑む。
 そして、空中に手を入れるようにして、何かを取り出した。
 彼女の手に握られていたのは、一振りの刀。
 それを彼の心臓に突き刺した。
 2009/12/29 11:35:3 [90]応援上げ  2009/12/26 19:55:53 [786]応援!上げ!  2009/12/26 16:20:57 [437]午前零時。光基野(みつきの)市の上空約30メートルの所に彼女はいた。
 空中であぐらをかくような姿勢で、左膝に左肘をおいて、頬杖をついている。
 しばらく地上を見ていたが、それに飽きたかのようにその場で立ち上がった。もっとも、空中なので立ち上がるような動作をしただけだが。
 そして、そこに地面があるかのように歩き始める。
 白銀の長髪が、それに合わせて動く。
 その間も、彼女は地上を見るのをやめなかった。
 何かを探すように辺りを見回すが、何も見つからないようだ。
 「う〜ん……此処もハズレかなぁ……?」
 しばらく歩いてから、彼女はつぶやいた。
 もう一度辺りを見回し、本当に何もない事を確認すると、踵を返して違う場所に行こうとした。
 その時、とても激しい爆発音が彼女の背後から響いた。
 爆風が彼女の髪を揺らし、彼女はゆっくりと振り返る。
 先ほどは何もなかったはずの街並の一部が、炎に包まれていた。
 同時に、人々の悲鳴や慌てたような声が聞こえて来た。
 それを呆然と見ていた彼女は、ふいに口の端を持ち上げて笑った。
 「なんだ……此の街、当たりだったじゃん」
 そして、彼女は炎の見える方角に、猛スピードで進んでいった。
 人々はそれに気付く事なく逃げ惑う。
 炎の上に降り立った彼女は、炎の中で平然と佇んでいる人影を見つけた。
 「見ぃつけた♪ゲームスタート!」
 彼女は、人影のほうにゆっくりと近づいていった。
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