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小説 「ようこそ、夢の世界へ」

零花 No.2983|2014/2/27 23:36:15

きっと私の事を知っている人はもう居ないと思いますが、お久しぶりです。
図々しい事に小説をここで書かせていだきたいと思います。

!warning!
・文才は空の彼方へお散歩中で帰ってきません
・主人公が男の娘です、女装してます
キャラの大半が多分男です
趣味です(カッ
一応腐、所謂BL的な表現は入れないつもりです
・完結するか分かりません←深刻

キャラ紹介↓
アリス・・・主人公。記憶喪失中の男の娘。
白ウサギ・・・うさみみ尻尾付きの男。唯一の常識人。
チェシャ猫・・・猫耳尻尾付き。よく分からない人だけど多分アリスを助けてくれてる
トゥイードゥルディー・・・うざい双子の片割れ。すごく重要そうな事を言ったり言わなかったり。
トゥイードゥルダム・・・うざい双子の片割れ。すごく重要そうな事を言ったり言わなかったり。
トランプ兵(スペード)・・・女王様LOVEな残念なイケメン。残念なイケメン。
赤の女王・・・唯一の女性、紅一点。だけど冷酷非情。

感想とか書いていただけると喜びます・・・|ω・)

 


        上げ

AKO

2015/5/20 23:33:20 [696]

すごくお上手ですね・・・
更新が楽しみです! 

向葵

2014/3/8 11:21:24 [461]

読みました(*´ω`*)
すごい文章力ですね!
読んでいてすごくおもしろいです(´∀`*)ノ
更新待ってます(*´ω`*) 

零花

2014/3/8 8:33:19 [740]

「逃げちゃダメだよ」
「ちゃんと向き合わなきゃ」
有無を言わせない、強い力で腕を握りながら二人は言う。口は笑うように歪められているが本心は読めない。
いや、見えない。心を具現化したとすると、この二人の心はきっと真っ暗、闇なんだ。
「ねぇアリス、どうして逃げるの?」
「どうして知らないフリするの?」
ぐいっ、と腕を引き寄せ顔を近付けながら問いかける二人。・・・・・・陶磁器のようだ。異常なまでに綺麗な肌。もしもこの肌を傷付けたら血でも出るのだろうか。涙は、出るのだろうか。
そして、今ならわかる。あの猫の言った意味。まだ、毒されるという意味までは予想の範囲内でしかないけど。この二人は危険だ、少なくともあの猫よりは。
幼い見た目に殺人鬼のような狂気をしまいこんでいる。羊の皮を被る狼。人の皮を被るナニカ。
「離してください!」
そこまで考えて、尋常ではない悪寒を感じ腕を振り払おうとする。でも、既に痣ができるほど強く握られているから簡単に振り払えるわけもなくて。
人形の目が、改めて僕を捉えた。

『君はーーーーーのに』

それを聴くことを、きっと僕は拒んだ。反射的に、拒んだ。だから聞こえなかった、一部だけ遠い遠い声のように感じた。こんなに近くにいるのに。
瞳が人間のソレでないことがすぐに分かるほどに、近くにいるのに。 

零花

2014/3/4 17:36:58 [898]




歩いても歩いても変わりもしない景色に段々嫌気がさしてきた。
空に鳥でも飛んでいれば気が紛れるんだけど、そんなものが飛んでいるわけもなく見上げても虚しいだけ。
あまりにも暇だから、歩きながら短くはあるけど今までの事を纏めてこの世界に関して考え始めようともしたけど・・・・・・別に結論に至った所で誰かが褒めてくれるわけでも、違うよと否定してくれるわけでもない。きっと虚しくなるだけだ。
・・・・・・考えるのはやめよう。
小さく溜め息を漏らして、気付かない内に止まっていた足を動かし歩き始める。

「あー、知らない人だー!」「人だー!」
まるで輪唱するような声が背後から聞こえて咄嗟に振り返る。
・・・・・・この二人が、あの猫の言っていた双子だろうか。
よく似た二人組で、まるで鏡に写ったように対称的な服を着ている。片方の左目、もう片方の右目には包帯が巻かれていて・・・・・・何かを隠しているのか?
そして、その二人は異常に似ていた。神様が間違えて同じのを作っちゃった、みたいな。
「ね、ね、何処から来たの?」「来たのー?」
何だか腹の立つ、人の神経を逆撫でするような声だ。
「・・・・・・僕にも、分かりません」
「ええ、なんでー?」
「どうしてー?」
困ったように、ではなくからかうように小首を傾げながら問い掛けるそれら。
なんだか、神様が作った人間、というより人間が作った人形のようにも感じた。
それとも、その言葉しか分からないからずっと同じ言葉を喋る子供?・・・・・・どちらとも、違う気がした。
とても言葉では表せないような、狂気を感じたから。
「どうして知らないのー?」
「なんで知らないの、『君はアリスなのに』
ふと紛れた不協和音。輪唱をしていた中つい重なってしまった部分。重なった二人の声はあまりにも無機質だった。
此方を見つめる瞳は夕陽の光が射し込んでいるだけで。人形の目玉代わりに入れられたビー玉みたいで不気味だ。
「アリス、どうして知らないフリするの?」
「それともホントに知らないの? 分からないの?」
瞳は咎めるように僕を見据えながら、口元は不気味に歪んでいる。
「僕は知らない、何も知りません」
と、きっぱりと答えてやれば二人はつまらなそうに頬を膨らませながら少し離れる。
でも、まだ立ち去る気はないのか此方を見つめている。
関わらない方が良さそうな気がして背を向け歩き始めようとすると、すごい力で腕を引っ張られた。 

零花

2014/3/1 15:54:38 [743]

紫色の毒々しい縞模様の耳と尻尾・・・・・・それは本物らしく特に耳は頭上でぴこぴこと動いている。
こんな非現実的な事・・・・・・夢でなければ、
「有り得ない」
思わず口をついて出た言葉にそれは可笑しそうに小さく笑った。
「当然だろ、何せ此処はお前の知ってる世界じゃないからな」
「じゃあ何だと言うんですか!」
思わず声を張り上げてしまう。ああ、僕らしくもない。
その声に少し煩そうに耳をぺたりとさせながら、それは深々と溜め息をついた。呆れた、というより何処か哀れむように。あまり変わらない気もするけど。
「此処は夢の世界だよ・・・・・・まさか気付いてなかったのか?」
訝しげに僕を見つめながら問い掛けてくるそれ、・・・・・・不快だ。
・・・・・・夢の世界? おかしい、さっきは覚めなかったのに・・・・・・そもそも夢に出てくるそれが、自白するのか?
そんな僕の思考、戸惑いを読み取ったようにそれは語る。
「お前の思ってる夢とはきっと違うな・・・・・・ま、勘違いしてよーが俺には関係ねぇからどうでもいいけど。例え俺が疑われてようと、な」
やっぱり不快だ。心を読まれてる、そんな気がする。
これでは僕が主人公じゃなくて・・・・・・第三者にプログラミングされた事しか言えない、それに沿った行動しか出来ないNPCみたいだ。
主人公ならば、NPCの気持ちぐらい手に取るように分かる。例えば攻略本とか。それを読んでしまえばパターンは読めてしまう。
僕の事を書いた本をそれが持っていて、これからの行動も全て分かってしまっている・・・・・・そんな気分がした。
「まぁ、アリスがここで何をしたいのかも知らねぇけど・・・・・・何をするにも、この先気を付けろよ?」
まるで警告するように、それはいった。心配している?と考えたけどそれはそれで気色悪い。
そこは読めなかったのか、スルーしたのかそれは小さく笑みを溢してから
「特に、双子には気をつけろよ・・・・・・毒されないようにな、」
アリス。と耳元で囁いたかと思えばそれは一瞬にして消え去った。
多少は会話したけど、何の情報も得られなかった気がする。ただの世間話をしているNPC、みたいな。
いや、それよりは重要な役割だとは思うんだけど。
去り際に奴が言った・・・・・・双子。
奴が嘘をついていないならば、他に生物はいることになる。
まともな生物なら、まともに会話できる奴なら良いんだけど。
早く(?)も暮れ始めた陽を背に、宛もなく歩き始めた。 

零花

2014/2/28 22:30:4 [632]



「はぁ・・・・・・」
当然の事ではあるけれど、歩いても歩いても終わりが見えない。特に景色が変化するでもなく、相変わらず僕にとっては悪趣味なファンシーなもので。
此処が夢の世界ではなく現実ならば、そろそろ誰かと会えても良いと思うんだけど。
それとも、実はまだそんなに時間も経っていない?
平坦な状況が長く続けば続くほど、退屈だと、面白くないと感じる。そう、授業とかそんなもの。
それは大抵とても長く感じる。たった45分、50分程度が・・・大袈裟かもしれないけれど、永遠に終わらないような気がするくらい。
今はそれと同じと言って良い状況。時間も確認できないからその確証はとれないけど・・・。

それにしても、あまりにも何も無さすぎる。
いや、有ることには有るのだけど。民家から花などの綺麗と言える植物も有るのだけど・・・生物を今まで見ていない。
きっと僕は生物というよりは人間が苦手だ。単なる勘だけど、合ってる筈。だから誰も居なくても良いけど・・・寂しい、と感じることぐらいはある。

「よぉ、辛気くさい顔してどうしたんだよ?」
「っうわぁ!?」
急に頭上から降ってきた声、それと影。驚いて後ずさた拍子に露出していた木の根っこに足を取られ転びそうになる。
「・・・ははっ、だっせぇ」
落ちてきたそれはきょとんとしたように黙りこんだと思えば僕を指差してからかうように、馬鹿にするようにケラケラと笑う。
誰?とかいう疑問より何よりもカアァ、と顔の熱が高まるのと同時にちょっとした怒りも沸いてきた。
僕は短気なのだろうか、・・・自分に対して変な言い方だけど。
「笑わないでください、失礼だと思いませんか?」
なるべく平静さを保つように努力したのだけど、熱はなかなか引かないみたいで。
それは未だに頬をゆるゆると緩ませながら(こういう顔なのか?)、
「いやぁ、あまりにも面白いっつか無様でさ・・・悪いな、アリス」
「・・・アリス?」
多分こいつには何を言っても無駄だろう、と早々に諦めながらも聞き覚えのない名前に疑問を覚える。
「お前の事だよ、・・・アリス、お前は主人公だ」
あまりにも唐突すぎる言葉に時さえも止まったような気がした。
主人公?ゲームじゃないんだから。
そう言い返してやれば良かったのだが、気付いた。
・・・それは人間ではないと。 

零花

2014/2/28 17:28:55 [832]



其処は、まさに童話の中の世界といった所だった。
小さな女の子の夢を詰め込んだらこうなるんじゃないかな、といった風な・・・ファンタジーな感じの世界だった。
正直、僕の趣味には合わないから早く帰りたいのだけど・・・落ちてきた筈の穴、そして着地した部屋は既に無くて。
元からありませんでしたけど?と言わんばかりに跡形もなく消えていた。
しょうがない。小さく溜め息をついて、歩き始めた・・・と、ふと気付いた。
脚がスースーする、というか何かまとわりつくような・・・・・・
「うわぁっ!?」
気になって足元を見ると、それはまるで自分でないようだった。
いや、僕は僕で変わってないんだけど・・・何、この格好。
童話の中の世界のような所に、この悪趣味なドレス。これは夢なのだ、と思わないと頭がおかしくなりそうだ。
・・・夢ならば、覚めれば良いじゃないか。
今更か、と言われでもしそうだけど仕方ない、だってこんな世界に来て冷静に事を考えるなんてできない。少なくとも僕はできなかった。
しかし、夢だと気付いた時点で覚めそうなものだけど・・・と思いながら頬をつねる。
「痛っ・・・え、痛い?」
予想だにしていなかった感覚に自分でも分かる素っ頓狂な声をあげてしまった。
まさか、夢じゃない? こんな瞬間的に衣服が変わって、こんな現実的らしからぬ場所にいるというのに?

・・・ただ考えていてもしょうがない。歩かなきゃ、進まなきゃ・・・実行しなきゃ、何も変わらない。
早くも本日二度目の溜め息をつきながら、このファンシーな世界には似つかない重い足取りで歩き始めた。

僕は帰れるのだろうか。
ー帰す訳ないでしょう。
それとも此処が僕の居場所なのか。
ーそうだよ、おかえりアリス。
考えたくもない。見たくない。
ー考える事から逃げても、目を背けても事実はそこにいるのに?

『ギブアップなんて許さない』 

零花

2014/2/28 0:26:12 [452]

・・・終わりは意外と早く訪れた。
ぽふん、とベッドのような柔らかい物に落下したように、包み込まれるように。
しかし其処は至って普通な床・・・堅くなければならない筈のもので。
しかし彼には床がどうのこうのなど関係無く、自分が生きていたことに不思議そうに首を傾げる。
最も、自分の衣服の異変には気付いていないようだけど。
彼は今、まさに少女という格好だった。何処かの童話に出てきそうな、少女が着ているような・・・エプロンドレスに、頭部には白いリボンを着けている。
でも彼はそれに気付くことなく立ち上がっては、抜け道はないだろうかとキョロキョロと辺りを見回す。
すると、ピンク色のファンシーな扉が目に入った。
それはあまりに女の子らしすぎて・・・彼は一瞬だけ躊躇った。
しかし他には抜け道もなく、諦めたように溜め息をついてドアノブに手をかけーーー

ああ、開いてしまった。
貴方はこの世界に脚を踏み込んでしまった。
もう帰れない。もう逃げれない。
貴方は今、この瞬間【アリス】になってしまったのだから。

『ようこそ、夢の世界へ』 

零花

2014/2/28 0:19:38 [692]

今、目の前を焦ったように駆け抜けていった男性。それには人間についているべきものではないものが付いていた。
白くて長い・・・兎の耳と形容するのが一番近い、寧ろ正しいだろう。
少女のような彼は、涼しい顔をしながらコスプレ、というものかと考えた。しかし、正直そんな事をしそうな顔立ちにも見えなかった。
「・・・宇宙人・・・?」
まさか、と思いながらぽつりと呟いた時にはその男性はマンホールのような穴の中へ落ちていた。
・・・いや、飛び込んだのだろうか? 特に悲鳴をあげるでもなく落下していく。
そこが帰る場所なのだ、巣なのだと主張するように。
奇遇な事に彼は、退屈しきっていた。
・・・楽しそう。
清純な少女に見えて中身は少年らしく好奇心旺盛で、冒険というものにそそられるのだ。
そっと穴を覗きこむ。そこは真っ暗で、吸い込まれてしまいそうなほどで。
少し怖じ気づくものの、好奇心には勝てずにそっと、そっと脚を踏み出すと・・・
「・・・・・・ひッ!?」
何かに、引きずりこまれるように。それとも先程感じたように、吸い込まれるように?
片足だけそろりと出した筈が、あっという間に真っ逆さま。
外からは真っ暗だと思っていた中身は本棚でいっぱいで、壁紙と疑うほどだ。
最も、今の彼にそれを悠長に眺めている暇などないのだが。
「えっ、ま、待ってこれ落ちてる・・・え、僕落ちてる!」
声変わり前の少年のような高く透き通った声で悲鳴をあげながら落下していく彼。
恐怖のあまりぎゅっと目を暝る、早く終わってくれと願いながら。 

 
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