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【小説】ヘンゼルとグレーテル

アクトリス No.1397|2010/12/8 11:19:36

ある小さな村の小さな村に、四人の家族が住んでいました。
母と父、子供は男の子と女の子です。
男の子の方は「ヘンゼル」といいました。
女の子の方は「グレーテル」といいました。
ヘンゼルの方がグレーテルと三歳年上でお兄さんです。
グレーテルは何かとヘンゼルにくっ付き行動するぐらい甘えん坊でした。
父は仕事から家に帰ると仕事帰りに買ってきた、お菓子などの
お土産を子供たちに買ってきたりと、優しい父親でした。
母は、いつも眠れないグレーテルに眠るまで本を読んでくれたりと
思いやりのある母親でした。
しかし、それから五年後。ヘンゼルが12歳になった時。
いきなり母親は不治の病に倒れ。亡くなってしまいました。
ヘンゼルもグレーテルも、いつもニコニコしていた父親でさえ悲しみました。
そんなことあってから五ヶ月後。
いきなり父親は知らない女性を連れてきて、再婚するといいました。
子供たちは反論することも出来ずに、話は勝手に進み父は
その知らない女性と結婚をすることになりました。
女性は継母となりました。しかし。
その継母は父親がいる時は優しい母親ですが、父親が仕事に行くと
一転して意地悪な継母になるのでした…。

 


        上げ

アクトリス

2010/12/9 10:35:25 [401]

ヘンゼルが家に入ると、二階の方から物音がしました。
…グレーテルだな?
ヘンゼルはそう確信しながら、二回のほうに進みました。
暗い廊下の中をギシギシと歩いていく。
歩いていると右あったドアが開きました。
グレーテルです。
「ヘンゼル?帰ったならなんで何も言わないの。驚くじゃない。」
「…ごめん。グレーテル。」
グレーテルはヘンゼルを睨み付けました。
「どこに行ってたの?あいつがいないのに、買い物?」
グレーテルは継母のことを『あいつ』と呼びながら、ドアのほうに
寄りかかりました。
「いや。そうじゃないんだけど。ちょっと用事があってね。」
ヘンゼルは、グレーテルを優しい女の子に戻したいという本当の
目的を本人言うのは良くないと思い、言葉を濁した。
「用事?何よ。私言えないことでも有るの。」
グレーテルはそう言いながら、ヘンゼルを睨み続けました。
まるで、カエルが蛇に睨み付けられて動けなくなったように
ヘンゼルは固る。
「いや…そういう訳じゃないんだけど。あ。そうだ!」
ヘンゼルはとりあえずこの話題は避けようとして、違う話題を話し
始めました。
「グレーテル。昔、母さんが買ってくれたアライグマのぬいぐるみ
ってまだあったっけ?」
 

アクトリス

2010/12/9 10:19:6 [848]

魔女の家を出てからヘンゼルは、小さい頃グレーテルが一番何を大切に
していたのかを思い出そうとしました。
小さい頃、母から買ってもらったぬいぐるみ。
夜に母から読んでもらった絵本。
いつも遊びに行っていた森にあるきれいな小さな石。
考えるときりがありません。
とりあえず、ヘンゼルは今考えた三つの思い出の品を集める事にしました。
まずは、ぬいぐるみから。
そう思ったヘンゼルは、いったん家に帰ることにしました。
自分の家は、実の母親がいた頃とは外見も雰囲気も変わって
しまいました。
綺麗だったレンガの壁は、薄汚れ。
実の母が大切に育てていた花壇は、ただの荒地になり。
綺麗に輝いていた窓は、すす汚れ一部は割れている所さえ
ありました。
ヘンゼルが家のドアを開けると、家の中は静まり返っていました。
父も継母もいないようです。
父は仕事に。継母も出かけているようです。
ヘンゼルは継母がいないことにホッとしながら、家の中に入りました。
 

アクトリス

2010/12/8 11:40:48 [902]

ヘンゼルはそんなグレーテルに注意をしたりはします。
しかし、初めのうちは聞いていたグレーテルは面倒になったのか
ヘンゼルの注意に耳をかさなくなりました。
困ったヘンゼルは、隣の村にいる魔女の家に相談しに来ました。
「魔女さん、グレてしまったグレーテルを元に戻すには
どうすればいいのでしょうか?」
魔女は微笑しながら、言いました。
「やはり、原因を取り除くしかないわ。それか。」
「?」
「本当のお母さんを生き返らすしかないわね。」
その魔女の言葉にヘンゼルは驚きました。
「そんなことが出来るのですか!?」
「ええ…。私に不可能なんてないわ。でも、そうねぇ。必要なものが
無いと出来ないわ。」
「必要なもの?」
魔女はヘンゼルのくりくりした瞳を覗きながら、いいました。
「グレーテルという子と本当の母親との思い出の品が無くては
駄目なの。出来る?」
「思い出の品?」
ヘンゼルは首を傾げました。
「ええ。昔読んでもらった本や。連れて行ってもらった所の
草花などよ。」
ヘンゼルは黙りながら、首を今度は縦に振りました。
「思い出の品ですね。やってみます。集めてみます。」
魔女はニコッと微笑む。
「あなたなら出来るわ。妹さんが好きならね。」
魔女の言葉を聞くとヘンゼルはお辞儀をして、魔女の家から
出ました。 

アクトリス

2010/12/8 11:30:19 [130]

継母はヘンゼル達をこき使う毎日でした。
小さなヘンゼルを知らない遠い町に買い物に出かけさせたり、少し
手伝いを失敗しただけで殴ったりしました。
ヘンゼルは買い物などに行かされていたので、まだ良い方です。
ヘンゼルが出かけて残されたグレーテルは、いつも洗濯などの家事を
無理やり休む暇も無くやらされていました。
特に掃除は昼間にやっても、汚いところが見つかればご飯中でも、
夜中の就寝中でも無理やり起こされ、
「ほら、まだ汚いところがあるじゃないか!」
と掃除させられました。
グレーテルは悲しい気持ちを、あの優しかった本当の母親や、ヘンゼルに
ぶつけられなく一人で悲しみに耐えていました。
そんなことが一年以上続いていると…。
なんとグレーテルは『グレて』しまいました。
原因は継母からのストレス。誰にも悲しみをぶつけられない不安定な
精神状態のせいです。
初めは、村の小さな子供をいじめているだけでした。
しかし、時間がたつにつれ悪性になり。足腰の弱い老人や
仕事の無い人、家の無い人に対しても殴ったり蹴ったりとやるように
なってしまいました。 

 
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