| 2010/12/9 10:35:25 [401]ヘンゼルが家に入ると、二階の方から物音がしました。…グレーテルだな?
 ヘンゼルはそう確信しながら、二回のほうに進みました。
 暗い廊下の中をギシギシと歩いていく。
 歩いていると右あったドアが開きました。
 グレーテルです。
 「ヘンゼル?帰ったならなんで何も言わないの。驚くじゃない。」
 「…ごめん。グレーテル。」
 グレーテルはヘンゼルを睨み付けました。
 「どこに行ってたの?あいつがいないのに、買い物?」
 グレーテルは継母のことを『あいつ』と呼びながら、ドアのほうに
 寄りかかりました。
 「いや。そうじゃないんだけど。ちょっと用事があってね。」
 ヘンゼルは、グレーテルを優しい女の子に戻したいという本当の
 目的を本人言うのは良くないと思い、言葉を濁した。
 「用事?何よ。私言えないことでも有るの。」
 グレーテルはそう言いながら、ヘンゼルを睨み続けました。
 まるで、カエルが蛇に睨み付けられて動けなくなったように
 ヘンゼルは固る。
 「いや…そういう訳じゃないんだけど。あ。そうだ!」
 ヘンゼルはとりあえずこの話題は避けようとして、違う話題を話し
 始めました。
 「グレーテル。昔、母さんが買ってくれたアライグマのぬいぐるみ
 ってまだあったっけ?」
 
 2010/12/9 10:19:6 [848]魔女の家を出てからヘンゼルは、小さい頃グレーテルが一番何を大切にしていたのかを思い出そうとしました。
 小さい頃、母から買ってもらったぬいぐるみ。
 夜に母から読んでもらった絵本。
 いつも遊びに行っていた森にあるきれいな小さな石。
 考えるときりがありません。
 とりあえず、ヘンゼルは今考えた三つの思い出の品を集める事にしました。
 まずは、ぬいぐるみから。
 そう思ったヘンゼルは、いったん家に帰ることにしました。
 自分の家は、実の母親がいた頃とは外見も雰囲気も変わって
 しまいました。
 綺麗だったレンガの壁は、薄汚れ。
 実の母が大切に育てていた花壇は、ただの荒地になり。
 綺麗に輝いていた窓は、すす汚れ一部は割れている所さえ
 ありました。
 ヘンゼルが家のドアを開けると、家の中は静まり返っていました。
 父も継母もいないようです。
 父は仕事に。継母も出かけているようです。
 ヘンゼルは継母がいないことにホッとしながら、家の中に入りました。
 
 2010/12/8 11:40:48 [902]ヘンゼルはそんなグレーテルに注意をしたりはします。しかし、初めのうちは聞いていたグレーテルは面倒になったのか
 ヘンゼルの注意に耳をかさなくなりました。
 困ったヘンゼルは、隣の村にいる魔女の家に相談しに来ました。
 「魔女さん、グレてしまったグレーテルを元に戻すには
 どうすればいいのでしょうか?」
 魔女は微笑しながら、言いました。
 「やはり、原因を取り除くしかないわ。それか。」
 「?」
 「本当のお母さんを生き返らすしかないわね。」
 その魔女の言葉にヘンゼルは驚きました。
 「そんなことが出来るのですか!?」
 「ええ…。私に不可能なんてないわ。でも、そうねぇ。必要なものが
 無いと出来ないわ。」
 「必要なもの?」
 魔女はヘンゼルのくりくりした瞳を覗きながら、いいました。
 「グレーテルという子と本当の母親との思い出の品が無くては
 駄目なの。出来る?」
 「思い出の品?」
 ヘンゼルは首を傾げました。
 「ええ。昔読んでもらった本や。連れて行ってもらった所の
 草花などよ。」
 ヘンゼルは黙りながら、首を今度は縦に振りました。
 「思い出の品ですね。やってみます。集めてみます。」
 魔女はニコッと微笑む。
 「あなたなら出来るわ。妹さんが好きならね。」
 魔女の言葉を聞くとヘンゼルはお辞儀をして、魔女の家から
 出ました。
 2010/12/8 11:30:19 [130]継母はヘンゼル達をこき使う毎日でした。小さなヘンゼルを知らない遠い町に買い物に出かけさせたり、少し
 手伝いを失敗しただけで殴ったりしました。
 ヘンゼルは買い物などに行かされていたので、まだ良い方です。
 ヘンゼルが出かけて残されたグレーテルは、いつも洗濯などの家事を
 無理やり休む暇も無くやらされていました。
 特に掃除は昼間にやっても、汚いところが見つかればご飯中でも、
 夜中の就寝中でも無理やり起こされ、
 「ほら、まだ汚いところがあるじゃないか!」
 と掃除させられました。
 グレーテルは悲しい気持ちを、あの優しかった本当の母親や、ヘンゼルに
 ぶつけられなく一人で悲しみに耐えていました。
 そんなことが一年以上続いていると…。
 なんとグレーテルは『グレて』しまいました。
 原因は継母からのストレス。誰にも悲しみをぶつけられない不安定な
 精神状態のせいです。
 初めは、村の小さな子供をいじめているだけでした。
 しかし、時間がたつにつれ悪性になり。足腰の弱い老人や
 仕事の無い人、家の無い人に対しても殴ったり蹴ったりとやるように
 なってしまいました。
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